MOMENT

"Sweets Crossing"

渋谷スクランブルスクエア内にある「エキュートエディション渋谷」は、15のスイーツショップで構成されている。渋谷の雑多な街歩きのリズムと接続しながら、人々を自然と引き込む空間となるよう設計した。すべてのショップを斜め45度に配置し、視線と動線が交差することで、来訪者が気づけば奥へと導かれる回遊性の高い空間構成を実現している。この配置は、手前と奥といった場所による優劣を生みにくく、互いのショップがフラットな関係性を保つ効果を持つ。また将来的に一部のショップが入れ替わる際にも、新たなショップが躊躇なく参加できるよう、公平性と柔軟性を備えたレイアウトとなっている。空間全体をやわらかく束ねる存在として、天井にはメッシュで覆われた有機的なフォルムの構造体を吊り下げている。それは“雲”のように軽やかに漂いながら全ショップを束ね、同時に“ホイップクリーム”のような楽しげな佇まいをまとい、スイーツがもたらす高揚感を空間スケールで翻訳したような造形である。構造体の底部にはショップ配置に沿って照明を組み込み、すべてのショーケースに均等な光が行き届くよう設計し、視覚的な軽やかさと機能性を両立させている。これは単なる「購入の場」にとどまらず、「回遊しながら出会う空間」を目指したものである。設計の起点にあったのは、渋谷という都市の流動性と、スイーツという小さな喜びが交差する、その“リズム”である。宙に浮かぶ甘やかな造形が、サインや照明といった機能を内包しながら、スイーツとの魅惑的な出会いと高揚感をやわらかく包み込んでいる。

エキュート エディション 渋谷

2019
クライアント : 株式会社JR東日本リテールネット
写真 : 荒木文雄